肛門からの出血でわかる大腸肛門疾患 下関

肛門からの出血は肛門疾患でもっとも多い症状のひとつです。出血の状態(色、出血量、排便との関係)やそれに伴う症状によって多くの病気がわかります。

【出血の種類】

まず、どのような出血であるかが重要です。赤い血なのか黒い血なのか、量は多いのか少ないのか、ほとばしるようにシャーと出るのか、便を拭いた紙につくのか、便に血がつくのか、便に血が混じるのか、粘液を伴うのか、痛みを伴うのか伴わないのか、などが重要です。

 

出血と肛門の病気】

赤い血であれば、肛門近くからの出血です。その量がある程度多く、ほとばしるように出る場合には内痔核(図2)の出血を考えます。また痛みを伴い、量が少なく紙に付く程度であれば、裂肛の出血が疑われます。しかし痔核や裂肛から出た血液が逆流して直腸にたまり、赤黒い血が出ることもあります(図2)。

肛門周囲の血豆の様の腫瘤から黒っぽい血が出る場合は、血栓性外痔核の表面が破れて出た出血です。肛門周囲のケロイドのようなしこりから血膿のようなものが出る場合は、痔瘻や肛門周囲膿瘍です。出血量は少なく透明な粘液が出る場合は、直腸脱や粘膜脱、あるいは直腸ポリープ(図3)などが考えられます。ただし、これらの出血は大腸がん、とくに直腸がん(図3)の出血ととても良く似ています。従って、出血が続く時には、大腸内視鏡検査などの精密検査が必要です。

【出血と大腸の病気】

血液に粘液が混じったり、下痢を伴ったりする場合には、潰瘍性大腸炎(図4)を考えなくてはなりません。

また強い腹痛を伴った下痢の後に血便が出る場合は虚血性大腸炎(図5)という病気です。

腹痛もなく突然に下痢のような赤黒い血が出る場合には大腸憩室(図6)の出血や、非常にまれですが動静脈奇形からの出血が疑われます。 

またタールのように黒っぽく、くさい便が大量に出る場合には、胃・十二指腸潰瘍などの疾患が考えられます。なお、各疾患の詳細に関しましては、それぞれのトピックスや専門書などを参考にしてください。

 

【まとめ】

肛門からの出血の状態とそれに伴う症状により、多くの病気がわかります。しかしこれはあくまでも目安に過ぎません。症状が続くときには専門家による正確な診断を受けることが必要です。

 

 

 

 

監修 所沢肛門病院 栗原 浩幸 先生

下関市病院 桃崎病院 院長

下関 桃崎病院

 

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