2.大腸がんとは
大腸がんは、長さ約2mの大腸(盲腸・結腸・直腸・肛門)に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
大腸粘膜の細胞から発生し腺腫(せんしゅ)という良性のポリープの一部ががん化して発生したものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。粘膜の表面から発生したあと、大腸の壁に次第に深く侵入していき、進行するにつれてリンパ節や肝臓、肺など別の臓器に転移
します。
3.症状


4.疫学・統計
1)統計
大腸がんにかかる割合(罹患[りかん]率)は、40歳代から増加し始め、50歳代で加速され、高齢になるほど高くなります。大腸がんの罹患率、死亡率
はともに男性では女性の約2倍と高く、部位別では結腸がんより直腸がんにおいて男女差が大きい傾向があります。
大腸がんの罹患率をみると、1990年代前半までは増加し、その後は横ばい傾向にあります。大腸がんで亡くなる患者さんの割合(死亡率)に関しては、1990年代半ばまで増加し、その後は少しずつ減る傾向にあります。男女とも、大腸がんの生存率は比較的高くなっています。
大腸がんの増加には、主として結腸がんの増加が影響しています。罹患率の国際比較では、結腸がんは日本人よりハワイの日系移民が高く、欧米白人と同程度であることが知られていましたが、最近では、結腸がん・直腸がんともに、日本人はアメリカの日系移民および欧米白人とほぼ同じになっています。
2)発生要因
大腸がんの発生要因として、生活習慣では飲酒や肥満が、食生活では赤肉(牛・豚・羊の肉)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取増加が指摘されています。身体的な要因としては、高身長の人ほど発症リスクが高い傾向にあります。遺伝的な要因としては、直系の親族に家族性大腸腺腫症とリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸がん家系)にかかった人がいるという家族歴が知られています。
詳しくは「がん種別リスク要因と予防法」「遺伝性腫瘍・家族性腫瘍」をご参照ください。
